「食事の脂質と体の反応」 ~MCTと血糖・体重の関係~
2026年4月1日
はじめに
私たちの体は、食べたものをエネルギーとして使いながら、体重や血糖のバランスを保っています。
その中で「脂質」は、量だけでなく種類によっても、体の反応が変わることがわかってきました。
そこで、近年注目されているのが、MCT(中鎖脂肪酸)です。
MCTは、一般的な脂質とは体の中での使われ方が少し異なり、比較的エネルギーとして利用されやすい特徴があります。
では、MCTを多く含む食事をとることで、体重の増え方や血糖の調節にはどのような変化が起こるのでしょうか。
今回の研究では、MCTを多く含む食事と体重・血糖の関係について詳しく見ていきます。

どのような研究?
今回の研究は、カナダの大学・研究機関による共同研究として実施されました。
主に、Université de Sherbrooke(シェルブルック大学)とUniversité de Montréal(モントリオール大学)、およびモントリオール大学附属病院の研究センターであるCRCHUM(Centre de recherche du Centre hospitalier de l’Université de Montréal)の研究チームが中心となって行われました。
この研究では、マウス28匹を対象に、食事に含まれる脂質の種類が、体重の増え方や血糖の調節にどのような影響を与えるのかを調べました。
マウスは、食事内容の違いによって、次の2つのグループに分けられました。

研究期間中、マウスにはそれぞれの食事を継続して与えられました。
そして、特に次の 2つのポイントについて詳しく調べました。
① 体重の変化
研究期間中、マウスの体重を継続的に測定し、対照食(長鎖脂肪酸主体の食事)と、MCTを多く含む食事とで、体重の増え方に違いがあるかを調べました。
体重の変化を比較することで、MCTを多く含む食事が、エネルギーの使われ方や体重管理にどのような影響を与えるのかを評価しています。
今回の研究では、「体重増加効率」という指標を用いて評価しています。
これは 摂取したエネルギー(1kcal)あたり、どれくらい体重が増えたか(g/kcal) を示すものです。
② 血糖値の変化
マウスの血糖値を測定し、食事中の脂質の種類の違いが、血糖の調節に影響を与えるかどうかを調べました。
血糖値は、体内でエネルギーがうまく使われているかを知るための重要な指標です。
食事を一定期間続けた後、インスリンを1回投与し、その後45分間の血糖値の変化を測定しました。
そして、その45分間でどれだけ血糖値が下がったかを時間で割り、「1分あたりの血糖低下速度」として比較しました。
単位は「mmol/min」で、これは「1分間あたりに血糖値がどれくらい下がったか」を表しています。
マイナスの数値が大きいほど、血糖値が速く下がっていることを意味します。
研究の結果
① 体重の変化
MCTを多く含む食事を与えたグループBは、1kcalあたりの体重増加量がより低いことがわかりました。
これは、「同じエネルギー量を摂取していても、MCTを多く含む食事の方が体重が増えにくい可能性がある」ことを示しています。
MCTは体の中でエネルギーとして使われやすいという特徴があることが示唆されました。

② 血糖値の変化
インスリンを1回投与した後、MCTを多く含む食事を与えたグループBの方が、血糖値がより速く低下する傾向がみられました。
これは、MCTが代謝の働きをサポートし、血糖のコントロールに良い影響を与えている可能性を示しています。

さいごに
今回の研究では、MCTを多く含む食事が、体重の増え方や血糖の調節に影響する可能性が示されました。
また、同じカロリーであっても、食事に含まれる脂質の種類によって体の反応が異なる可能性があることも、今回の結果から示唆されました。
日々の食事の中で、脂質の種類にも目を向けることが、健康づくりのヒントになるかもしれません。

