
「ケルセチンで血管を若々しく!」~食べて守る血管の健康~
2025年9月1日
今月のグローバルスキャンは 2024年 7月に発表された論文を要約してお届けいたします。
参考文献:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11277168/
はじめに
血液中の脂質が多くなりすぎると、血管の内側に脂肪がたまり、動脈硬化が進んでしまいます。

動脈硬化は、血管が狭く硬くなることで、心臓病や脳梗塞など、命に関わる病気のリスクを高める原因になります。
そんな血管の健康を守るために、近年注目されているのが「ケルセチン」という成分です。
ケルセチンは、たまねぎの皮やブロッコリーなどに含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用や抗炎症作用など、さまざまな働きが知られています。
今回ご紹介する研究では、ケルセチンが動脈硬化を防ぐ可能性について詳しく調べました。
どのような研究?
今回の試験は、中国の蘇州大学の協力を得て、計16週間にわたって実施されました。

マウス6匹を対象に、高脂肪な食事を与えたグループ(3匹)と、
高脂肪な食事+ケルセチンを与えたグループ(3匹)に分けられました。(図1参照)

そして、それぞれのグループのマウスの血管を詳しく調べ、下記の2点を測定しました。
①血管の内側のプラークにより狭くなった部分の割合
動脈硬化によって、血管内にできたプラーク(脂肪の塊)が血管を狭くしてしまいます。
この実験では、血管がどれだけ狭くなっているかを測定し、その割合を%で表しています。
②血管の中に溜まった脂質の割合
血管内のプラークの量を測定し、血管内に脂質がどれだけ溜まっているかを調べました。
Oil Red Oという色素でプラークを染め、その染まった部分の面積の割合を%で表しています。
研究の結果
①血管の内側のプラークにより狭くなった部分の割合
ケルセチンを与えたグループBのマウスは、血管内の狭くなった部分の割合が少なくなる傾向にあることが示唆されました。(グラフ1参照)

②血管の中に溜まった脂質の割合
血管にたまった脂質の量も、ケルセチンを与えたグループBのマウスでは、血管内の脂質が少なくなる傾向が見られました。(グラフ2参照)

さいごに
ケルセチンを摂取したグループBのマウスでは、血管がより広く保たれ、また血管内にできるプラークが少なくなる傾向が見られました。
このことから、ケルセチンを積極的に取ることで、血管の健康が改善される可能性があると考えられます。
血管は、体全体の元気を支える大切なカギです。
普段の食事から、血管の健康を意識することが、いつまでもいきいきと過ごすための一歩になるかもしれません。