thumbnail

「バージンココナッツオイルの奇跡」 ~脳卒中後の神経保護について~

2025年3月1日

今月のグローバルスキャンは2022年11月に発表された論文を要約してお届けいたします。

参考文献:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9694050/

はじめに

2017年のアメリカ心臓協会の報告によると、脳卒中は世界で障害の第3位、死亡原因の第2位に分類されており、特に先進国での発生率が高いことが示唆されています。

脳卒中の主な危険因子としては、高血圧、糖尿病、喫煙などが挙げられ、これらが発症の約50%に関与しているとされています。

現在の治療法には外科手術や薬剤療法が含まれますが、副作用や後遺症を抑える目的で、近年では天然由来の製品が補助療法として注目されています。

その中でも、バージンココナッツオイル(VCO)は抗酸化、抗炎症、抗菌、心血管保護など多様な効果を持つとされ、神経保護作用についても可能性が示唆されています。

本研究では、バージンココナッツオイルが脳卒中発症後の神経保護に寄与するかどうかを検証しました。

どのような研究?

今回の試験は東京大学の協力を得て、計8週間にわたって実施されました。

対象は高血圧のラット20匹とし、脳卒中を誘発後、2つのグループにランダムに分けられました。(図1参照)

神経学的評価基準をもとに脳卒中の発症を日々観察し、①脳卒中の未発症率②脳卒中発症後の生存率を記録しました。

試験の結果

①脳卒中の未発症率

バージンココナッツオイルを摂取したグループAでは、グループBと比較して、脳卒中の発症が有意に遅れることが分かります。(グラフ1参照)

②脳卒中発症後の生存率

バージンココナッツオイルを摂取したグループAでは、脳卒中後の生存率がグループBと比較して顕著に高いことが明らかになりました。(グラフ2参照)

さいごに

本研究では、バージンココナッツオイルが高血圧のラットにおいて、脳卒中の発症を遅らせ、生存率を向上させる可能性が示唆されました。

バージンココナッツオイルに豊富に含まれるラウリン酸には抗酸化作用があり、神経保護に寄与している一因として考えられます。

その詳しいメカニズムについては、今後の大規模な研究によって解明されることが期待されます。