thumbnail

「酢の摂取が肥満の人に与える影響」 ~うつ病予防の可能性を探る~

2025年1月1日

今月のグローバルスキャンは2024年7月に発表された論文を要約してお届けいたします。

参考文献:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11280469/

はじめに

うつ病は世界で最も多く見られる精神疾患の1つであり、多くの人々の生活に深刻な影響を与えています。

過去の研究により、うつ症状のリスクがBMIに依存して増減することが示されており、特に過体重や肥満の人々はリスクが高いことが知られています。

うつ病には薬や心理療法が一般的な治療法として用いられていますが、副作用や効果の個人差が課題となっているため、新しい治療法の開発が進められています。

そのため、日常的な健康的な食事が重要視される中で、摂取の手軽さや既存の健康効果に関する研究が進んでいる「酢」が注目を集めています。

酢は発酵によって作られる食品で、主成分である「酢酸」には血糖値の管理や心臓病リスクの低下、肥満改善など多くの健康効果が期待されています。

さらに、酢酸は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの生成を促進する可能性があり、これがうつ症状の改善に役立つと考えられています。

そこで今回の研究では、毎日酢を摂取することが、肥満気味の人におけるうつ病予防にどのような影響を与えるかを調査しました。

どのような研究?

今回の試験はアメリカにあるアリゾナ州立大学の協力を得て、計4週間にわたって実施されました。

対象は肥満気味(BMI25〜40kg/m²)の男女28名とし、2つのグループにランダムに分けられました。(図1参照)

試験の評価基準として、被験者は試験前と4週間後にPHQ-9テストを実施しました。

試験の結果

PHQ-9テスト

今回の試験の結果、酢を摂取した両グループにおいてPHQ-9テストの点数が低下しました。

特に、酢を多く摂取したグループAでは点数の減少幅がより大きく、うつ症状の改善が確認されました。(表1、グラフ1参照)

さいごに

本研究の結果、肥満気味の人々において、毎日の酢の摂取がうつ症状の予防に役立つ可能性が示されました。

酢は手軽に食事に取り入れることができ、健康維持をサポートする身近な選択肢として注目されています。

今後は、より大規模な研究を通じて酢の効果や作用メカニズムをさらに解明し、より多くの人々にその恩恵を届けられることが期待されます。